イスラエル総選挙結果
概要
イスラエル総選挙は、120議席の一院制議会であるクネセト(Knesset)の議員を選出する選挙であり、全国単一選挙区の比例代表制を採用している。2019年4月から2022年11月までの約3年7か月の間に5回の総選挙が行われるほど政局不安が繰り返され、2022年11月1日に行われた第25代クネセト選挙でベンヤミン・ネタニヤフのリクード党が第1党となったことで右派連立が発足した。その後、2023年の司法改革をめぐる論争と10・7ハマス攻撃、ガザ戦争を経て、この選挙結果が生んだ政治構図は中東情勢全般に影響を及ぼしている。
主要内容
選挙制度
- 議席定数は120議席であり、全国を一つの選挙区にまとめ、政党名簿による比例代表方式で議席を配分する。
- 阻止条項(選挙しきい値)は3.25%で、これを超えられなかった政党は議席を獲得できない。
- 残余議席は最大剰余法(サント・ラグ方式の変形)で配分され、党内の順位は事前の予備選挙または党指導部による指定で決まる。
- 首相は大統領から連立構成の任務を付与された人物が就任し、連立が120議席のうち61議席以上を確保して初めて安定的な統治が可能となる。この構造のため、小政党の連立参加が政府構成の核心的な変数となる。
- 議会の任期は4年だが、連立崩壊や予算不成立などにより早期解散が頻繁に起こる。
繰り返し選挙の時代(2019~2022)
2019年4月の第21代総選挙ではリクード35議席、青白(ブルー・アンド・ホワイト)35議席が対峙して連立構成に失敗し、同年9月の第22代総選挙でも青白33議席、リクード32議席と膠着が続いた。2020年3月の第23代総選挙ではリクード36議席、青白33議席の構図の中で、新型コロナウイルス対応を名分に統一政府が構成されたが、2021年3月の第24代総選挙で再び崩壊した。この選挙ではリクード30議席、イェシュ・アティッド17議席であり、ナフタリ・ベネットとヤイル・ラピドを中心とする反ネタニヤフ連立が発足したが、2022年6月に解散した。
2022年11月総選挙の結果
2022年11月1日に行われた第25代クネセト選挙の主な結果は以下のとおりである。
| 政党 | 議席 |
|---|---|
| リクード(Likud) | 32 |
| イェシュ・アティッド(Yesh Atid) | 24 |
| 宗教シオニズム(Religious Zionism) | 14 |
| 国民統合(National Unity) | 12 |
| シャス(Shas) | 11 |
| トーラ・ユダヤ主義(UTJ) | 7 |
| イスラエル我らの家(Yisrael Beiteinu) | 6 |
| ラアム(Ra'am) | 5 |
| ハダシュ=タアール(Hadash-Ta'al) | 5 |
| 労働党(Labor) | 4 |
リクードと宗教シオニズム、シャス、トーラ・ユダヤ主義が連立を構成して64議席を確保し、ネタニヤフが再び首相職に復帰した。一方、イェシュ・アティッドを中心とする反対陣営は56議席にとどまり、イスラエル史上最も右派的な連立だとの評価が出た。
連立構成と政局
2023年初めに発足した連立は司法改革(司法府の権限縮小)立法を推進し、大規模な反政府デモや予備役の動員拒否の動きを招いた。2023年10月7日のハマスの奇襲攻撃以降、戦時内閣が構成されて政治的対立は一時的に収束したが、戦争の長期化と人質問題をめぐる論争が続いた。2024年11月にはガラント国防相が解任され、ギデオン・サールが国防相に任命されるなど、連立内の権力再編が行われた。
最新動向
2025年1月に人質解放と停戦合意が成立し、戦時体制の政治的緊張は一部緩和されたが、3月以降に再び軍事作戦が再開され、政局は流動的に展開した。2022年の選挙で構成された第25代クネセトの任期は2026年10月までであり、2025年時点で次回総選挙は2026年下半期に予定されている。ただし、連立内の対立、超正統派ユダヤ人の兵役義務問題、予算案の処理などが変数として作用し、早期総選挙の可能性が根強く取り沙汰されている。各種世論調査ではリクードが依然として第1党の地位を維持する中、野党の再編と新党結成の動きが並行して進んでおり、戦争終結の時期と人質問題の行方が次回選挙の構図に決定的な影響を及ぼすと分析されている。イスラエル総選挙の結果は、米国・アラブ圏との外交関係、ガザおよびレバノン情勢、イラン核交渉など域内の懸案と直結するという点で、国際社会の注目を集めている。
関連テーマ
- [[ベンヤミン・ネタニヤフ]]
- [[クネセト]]
- [[イスラエル・ハマス戦争]]
- [[イスラエル司法改革]]
- [[中東和平プロセス]]