土地取引許可制

指定された土地取引許可区域内の土地を取引する際に、地方自治体の長の許可を受けることを義務付ける不動産規制制度

土地取引許可制

概要

土地取引許可制は、国土交通部長官が指定した土地取引許可区域内で、一定面積を超える土地を売買・贈与・交換などによって取得する際に、契約締結前に所管の市長・郡守・区庁長の許可を受けなければならない制度である。投機的取引を抑制し、実需中心の正常な土地利用を誘導するための行政的事前規制であり、許可なく締結した取引は効力を生じない。

現行の法的根拠は、2020年に制定され2021年2月19日に施行された「不動産取引申告等に関する法律」(以下、取引申告法)である。1978年に制定された「土地取引許可に関する法律」と1990年の「宅地所有上限に関する法律」などへと続いてきた規制体系を統合・整理した結果であり、従前の個別法律は廃止され、関連内容は取引申告法に移管された。

主な内容

法的根拠と指定手続き

取引申告法第10条に基づき、国土交通部長官は次の事由があるときに土地取引許可区域を指定することができる。①土地の投機的取引が盛行し、または盛行するおそれがある場合、②地価が急騰し、または急騰するおそれがある場合、③土地利用の状況・周辺環境その他の事情からみて指定が必要と認められる場合である。指定期間は原則として5年以内であり、必要に応じて延長したり一部解除したりすることができる。指定・解除は官報に告示され、自治体のホームページと土地利用規制情報サービス(LURIS)を通じて公開される。

許可対象面積

許可区域内のすべての取引が許可対象となるわけではなく、用途地域別に定められた基準面積を超える場合にのみ許可を受けなければならない。代表的な基準は、住居地域18㎡超、商業地域・工業地域150㎡超、緑地地域100㎡超、管理地域・農林地域200㎡超(農地は500㎡超)、自然環境保全地域100㎡超などである。ただし詳細な基準は自治体の条例で別途定めることができ、地域ごとに差異がある。また、アパートなどの共同住宅を取得する場合も、一定面積以上であれば許可対象となる。

許可要件

取引申告法第11条は、許可の可否を判断する実体的要件を規定している。

1. 投機目的でないこと — 取引の動機が投機的需要ではなく、実際の利用目的でなければならない。

2. 適正面積であること — 取得しようとする面積が、その用途に実際に必要な範囲を大きく超えないこと。

3. 資金調達計画の適正性 — 自己資金の割合、融資への依存度、資金源の正当性を審査する。借入金の比率が過度に高いと、許可が拒否されることがある。

4. 取引価格の適正性 — 公示地価・実取引価格などの相場と比較して、取引価格が不当に高くないこと。

手続きと違反時の制裁

買主(取得者)は売買契約を締結する前に所管の自治体に許可を申請しなければならない。許可を得た後は、その目的どおりに土地を利用しなければならず、許可日から定められた期間内に登記を完了しなければならない。許可なく契約を締結した場合、その契約は民事的に効力がなく、無許可取引や不正な方法で許可を得た場合には、2年以下の懲役または土地価額の100分の30に相当する罰金が科される。許可目的に違反して利用した場合には履行強制金が課され、違反状態が是正されなければ許可が取り消されることがある。

指定状況

ソウル江南区・瑞草区・松坡区と龍山区一帯は、2020年6月に投機過熱を防ぐため許可区域に指定されて以降、解除と再指定を繰り返してきた。2022年4月に一部解除、2023年2月に再指定、2025年2月13日に再び1年間(2026年2月12日まで)再指定されるなど、ソウル南東圏の規制は不動産市場の状況に応じて弾力的に運用されている。地方では世宗(セジョン)、大邱(テグ)寿城区、京畿(キョンギ)果川(クァチョン)・城南(ソンナム)盆唐(プンダン)など、市場過熱地域が随時指定されてきた。

限界と批判

許可制は取引自体を事前に統制するという点で規制の強度が高く、実需者の取引機会を制約し、取引の急減を引き起こす可能性があるとの批判がある。また、法人・名義信託・贈与など迂回経路を通じた抜け道取引が現れ、ギャップ投資の抑制効果が一時的であるとの指摘もなされている。一方で、市場の過熱期には短期差益を狙った投機需要を直接遮断する効果があるため、政府は他の融資・税制規制と並行して活用している。

最新動向

2024~2025年に入り、首都圏のマンション価格の上昇傾向が続くなか、許可区域指定が再び拡大する流れが現れた。政府は2025年2月にソウルの江南3区と龍山区を1年間再指定し、その後、市場状況に応じて指定範囲を広げる方策を検討した。あわせて許可審査において融資依存度の審査強化(自己資金割合の確認)、法人・多住宅者の迂回取得の遮断、取得後の実居住義務の賦課方策などがともに議論されている。ギャップ投資防止のため、賃貸目的の取得に対する審査を強化し、許可後に目的どおり利用しているかについての事後点検も定例化する傾向にある。逆に、低迷期には指定解除で市場に流動性を供給するなど、許可区域の指定・解除が事実上の政策シグナルとして機能しているという評価が多い。

関連トピック

  • [[不動産取引申告等に関する法律]]
  • [[投機過熱地区]]
  • [[調整対象地域]]
  • [[不動産実取引価格申告制]]
  • [[住宅市場安定化対策]]
  • [[公示地価]]