張芸謀
概要
張芸謀(张艺谋、Zhang Yimou)は1950年4月2日に中国陝西省西安で生まれた中国の映画監督・撮影監督・プロデューサー・俳優である。中国「第5世代監督」の代表的存在として、『紅いコーリャン』『紅夢』『活きる』などでベルリン・ヴェネツィア・カンヌ映画祭をすべて制し、1980~90年代の中国芸術映画の世界的台頭を導いた。その後『HERO』を起点に大規模な商業ブロックバスターへと転換し、2008年北京夏季オリンピックと2022年北京冬季オリンピックの開・閉会式監督をいずれも務めた唯一の人物として、大衆文化のアイコンとなった。
主な内容
出生と成長
張芸謀は文化大革命期に学校教育が中断されたため農村で労働に従事し、その後紡績工場で働きながら写真に打ち込んだ。1978年に北京電影学院が再開されると撮影科を受験して合格し、これが彼の人生を変える転換点となった。同じ時期に陳凱歌、田壮壮らとともに、後に第5世代と呼ばれる世代を形成した。
第5世代監督の代表的存在
卒業後、彼は陳凱歌の『黄色い大地』(1984)で撮影監督を務め、中国映画の新たな映像美を開拓した。俳優として出演した『古井戸』(1986)で東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞したこともある。1987年、監督デビュー作『紅いコーリャン』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、一躍世界的な監督としての地位を確立した。その後『菊豆』(1990)、『紅夢』(1991、ヴェネツィア銀獅子賞)、『秋菊の物語』(1992、ヴェネツィア金獅子賞)、『活きる』(1994、カンヌ グランプリ)、『あの子を探して』(1999、ヴェネツィア金獅子賞)などで国際映画祭の受賞歴を重ねた。
作品世界と演出の特徴
初期作品は赤と黄色を強調した強烈な色彩、対称と反復を活用した構図、中国の農村社会と女性人物の運命を扱う叙事で特徴づけられる。2000年代以降は『HERO』(2002)、『LOVERS』(2004)、『王妃の紋章』(2006)など武侠・時代劇大作を通じてハリウッド流の大規模商業映画へと転換し、色彩美学と群舞的スペクタクルを極大化した。製作規模が大きくなった後も、人物の犠牲と権力の暴力というテーマ意識は絶えず維持されている。
代表作と国際的地位
代表作には『紅いコーリャン』『紅夢』『活きる』『HERO』『LOVERS』『王妃の紋章』『SHADOW 影武者』(2018)、『崖上のスパイ』(2021)、『満江紅』(2023)、『第二十条』(2024)などがある。彼はアカデミー国際長編映画賞ノミネート、カンヌ・ベルリン・ヴェネツィアの主要部門受賞など華々しい経歴を有しており、2008年北京オリンピック開・閉会式と2022年北京冬季オリンピック開・閉会式を演出して、夏季・冬季両オリンピックの式典をすべて演出した最初の監督となった。
最新動向
2024年に中国の春節(旧正月連休)シーズンに公開された『第二十条』は、法律を題材にコメディと組み合わせた作品で興行的に成功し、張芸謀の商業的感覚を再び証明した。また、劉慈欣の小説『三体』を映画化するプロジェクトの演出を彼が務めるという報道が何度もなされ、大型SFプロジェクトへの挑戦の可能性が業界の注目を集めている。2024~2025年の中国映画界は、検閲環境の変化と興行の二極化の中で、張芸謀がいまだ「国家級プロジェクト」と大衆的ヒットを同時に担う象徴的監督として機能していることを示している。また彼の初期作品が4K修復版として再公開・配信され、新たな世代の観客と出会っており、中国映画産業の世代交代の中でも巨匠の影響力は持続している。
関連項目
- [[中国映画]]
- [[第5世代監督]]
- [[北京オリンピック]]
- [[陳凱歌]]
- [[HERO (映画)]]
- [[三体]]