BRICS

ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ共和国を中心に結成された新興国協力体で、2024年に大幅に拡大した多国間協議体。

BRICS

概要

BRICS(ブリックス)は、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の英語の頭文字を取った新興国協力体で、2010年に南アフリカ共和国(South Africa)が加わったことでBRICSという名称が完成した。西側先進国中心の既存の国際秩序に対抗して新興国と発展途上国の声を代弁し、経済・金融・安全保障分野の多国間協力を拡大することを目標とする。2024年1月にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどが新たに加盟(または招待)され、名実ともに「グローバル・サウス」の代表プラットフォームとして位置づけられた。

主要事項

結成の背景と沿革

2001年、ゴールドマン・サックスの経済学者ジム・オニールが「BRIC」という用語を初めて提示し、4か国の成長潜在力を浮き彫りにした。2006年にロシアのサンクトペテルブルクで開かれたG8外相会談の機会に、ブラジル・ロシア・インド・中国の外相が会合し、実質的な協議体が発足、2009年にロシアのエカテリンブルクで初の首脳会議が開かれた。2010年に南アフリカ共和国が参加してBRICSとなった。

組織構造

BRICSは欧州連合のように法人格を持つ超国家的機構ではなく、首脳会議を最高意思決定機関とする緩やかな協力体である。毎年首脳会議が開催され、議長国は加盟国の輪番で務める。実務チャンネルとしては、外相会議、財務相・中央銀行総裁会議、安全保障高級代表会議などが運営される。

新開発銀行(NDB)と緊急準備金

2014年のフォルタレザ首脳会議で設立に合意した新開発銀行(New Development Bank、NDB)は、2015年に上海に本部を置いて発足した。初期資本金1,000億ドル規模で、加盟国のインフラと持続可能な開発プロジェクトに資金を供給する。同じ年に発足した包括的準備通貨協定(CRA)は1,000億ドル規模の金融セーフティネットで、加盟国の短期流動性危機に対応する装置である。2016年にはインドのニューデリーにNDB地域事務所が開設された。

主要協力議題

第一に、脱ドル化と自国通貨決済の拡大である。BRICS諸国は貿易決済におけるドル依存度を下げ、人民元、ルーブル、ルピー、レアルなど自国通貨の使用を増やす方策を議論してきた。第二に、発展途上国のインフラ投資と低炭素転換である。第三に、国連安全保障理事会の改革、国際通貨基金(IMF)と世界銀行のクォータ改編などグローバル・ガバナンス改革である。第四に、保健・農業・エネルギー・科学技術協力である。

加盟国と拡大

初期5か国に加え、2024年に拡大が断行され、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦が正式加盟し、サウジアラビアは招待を受けたが加盟手続きを調整中である。アルゼンチンは2023年末の政権交代後に加盟を撤回した。このほかにもアルジェリア、ベラルーシ、ボリビア、キューバ、カザフスタン、ナイジェリア、タイ、ベネズエラなど40か国余りが関心を表明したり、パートナー国地位を協議している。

限界と批判

加盟国間で政治体制、経済規模、利害関係が大きく異なり、共同行動が難しいという指摘が多い。インドと中国の国境紛争、中国の一帯一路とインドの反発、ロシアのウクライナ戦争に対する加盟国間の立場の違いなどが代表例である。また、BRICSが西側中心秩序への「反西側連帯」と映ることを警戒する加盟国もある。単一通貨創設の議論も現実性をめぐる論争が続いている。

最新動向

2024年10月にロシアのカザンで開かれた第16回首脳会議で、加盟国は決済システムの相互連携、穀物取引所の設立、NDBの資本拡充などを盛り込んだカザン宣言を採択した。2025年にはブラジルが議長国を務め、「グローバル・サウスの協力強化」を最優先議題に掲げ、気候変動対応とAIガバナンス、保健協力が新たな核心テーマとして浮上した。米国の関税政策と地政学的緊張が高まるにつれ、BRICS内部の自国通貨決済実験はさらに加速する様相である。ただし拡大に伴う意思決定コストの増大と内部の意見対立の露呈という課題もともに大きくなっている。韓国としては、BRICSの拡大がサプライチェーン、資源外交、対外通商戦略に及ぼす影響を綿密に管理する必要がある。

関連トピック

  • [[新開発銀行]]
  • [[脱ドル化]]
  • [[グローバル・サウス]]
  • [[G20]]
  • [[一帯一路]]