ロッキード・マーティン F-35 ライトニングII
概要
ロッキード・マーティン F-35 ライトニングII(Lockheed Martin F-35 Lightning II)は、アメリカのロッキード・マーティンを主契約者とし、ノースロップ・グラマンやBAEシステムズなどが参加して開発した第5世代ステルス多用途戦闘機である。アメリカ空軍・海軍・海兵隊の共通機体を目指した統合打撃戦闘機(JSF、Joint Strike Fighter)事業の成果物であり、単一機種体系で空中優勢・地上攻撃・電子戦・偵察任務を統合的に遂行することを目標としている。2006年の初飛行以降、2024年時点で累計納入機数は1,100機を超え、世界中で最も多く生産される現役戦闘機の一つとしての地位を確立した。
主な内容
開発背景とJSF事業
冷戦終結後、米軍はF-16、A-10、F/A-18、AV-8Bなど老朽化した機種を一つの共通機体で代替する計画を立てた。2001年10月、ボーイングのX-32とロッキード・マーティンのX-35の競争の末、X-35が選定されたことでF-35事業が本格化した。短距離離着陸(STOVL)と艦上着陸、通常離着陸(CTOL)の要求をすべて満たす必要があったため、三つの派生型が同時に開発された。
三つの派生型
- F-35A: 空軍用の通常離着陸型。内部機関砲(GAU-22/A 25mm 4砲身)を搭載し、2024年にB61-12戦術核投下の認証を取得して核共有任務にも運用される。
- F-35B: 海兵隊用の短距離離着陸・垂直着陸型。リフトファンと回転ノズルを備えたF135-PW-600エンジンを使用し、軽空母や滑走路の短い基地で運用可能である。
- F-35C: 海軍空母用の艦載型。翼面積と燃料搭載量が増加し、着艦装置と強化された降着装置を備える。
ステルスとセンサー融合
F-35の核心は、レーダー反射断面積(RCS)を最小化したステルス形状と兵器の内部搭載、そしてセンサー融合能力である。AN/APG-81 AESAレーダー、分散開口照準システム(DAS)、電子光学照準システム(EOTS)、電子戦装備、ヘルメット装着ディスプレイ(HMD)が収集した情報を一つに統合してパイロットに提供する。いわゆるネットワーク中心戦の核心ノードの役割を果たし、味方の機体や艦艇、地上資産に戦場情報をリアルタイムで共有する能力が強みとして評価されている。
武装とエンジン
プラット・アンド・ホイットニー F135ターボファンエンジンを単一搭載し、推力は12万ポンド級以上(アフターバーナー使用時)に達する。内部兵器庫にはAIM-120 AMRAAM、AIM-9Xサイドワインダーなどの空対空ミサイルとJDAM、JSOWなどの精密誘導爆弾を搭載し、ステルスが必要でない状況では外部パイロンを活用して搭載量を増やすビーストモードで運用される。
国際協力と輸出
アメリカのほか、イギリス、イタリア、オランダ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、カナダなどが開発パートナーとして参加し、その後ドイツ、スイス、フィンランド、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ギリシャ、シンガポール、日本、韓国などが導入を決定した。韓国は2019年から2022年までF-35A 40機を導入し、2023年に追加20機の導入契約を締結して計60機体制を確保する計画である。トルコはロシアのS-400導入問題でプログラムから除外された。
論争と限界
開発過程でスケジュール遅延とコスト超過が繰り返され、単価と運用維持費の問題は絶えず指摘されてきた。ALIS(自動物流情報システム)の頻繁な不具合はODINシステムへの代替が進められている。ソフトウェアのアップグレードが遅延し、新型機体の引き渡しが一時中断される事態も発生した。
最新動向
2024年から2025年にかけて最大の争点はTR-3(Technology Refresh 3)ソフトウェアとBlock 4アップグレードである。TR-3の未完成により2023年から新型機体の引き渡しが中断され、2024年下半期から限定的な引き渡しが再開されたが、完全なBlock 4能力は2030年代初頭までずれ込むとの見通しが出ている。これとともに、F135エンジンの推力・冷却能力向上のためのエンジンコアアップグレード(ECU)と、第6世代戦闘機(F-47、旧NGAD)事業との役割分担の議論が進められている。
ロシア・ウクライナ戦争と中東・インド太平洋の緊張高まりにより、ヨーロッパ各国のF-35発注が急増し、アメリカは年間150機前後の生産能力を維持している。2024年にはF-35AのB61-12核投下認証が完了し、NATO核共有任務における役割が拡大した。一方、アメリカ国内では高コスト問題と次世代機体への転換時期をめぐる予算論争が続いており、トランプ政権の防衛費分担圧力の下で同盟国の購入量が政治的変数として作用している。韓国国内では韓国空軍の追加導入と廠整備(整備・部品生産)能力の確保、そしてKF-21など国産戦闘機との役割分担が主要課題として議論されている。
関連トピック
- [[ロッキード・マーティン]]
- [[第5世代戦闘機]]
- [[ステルス技術]]
- [[統合打撃戦闘機 JSF]]
- [[KF-21 ポラメ]]
- [[韓国空軍]]