MCR2030(Making Cities Resilient 2030)

国連防災機関(UNDRR)が2030年までに都市レジリエンスの強化を目標に推進するグローバルな都市パートナーシップ。

MCR2030(Making Cities Resilient 2030)

概要

MCR2030(Making Cities Resilient 2030)は、国連防災機関(UNDRR)が2020年11月に正式に発足させたグローバルな都市レジリエンス・パートナーシップである。2030年までに世界中の都市が災害・気候リスクを事前に診断し減らしていけるよう、段階別のロードマップと診断ツール、都市間学習ネットワークを提供することを目標としている。2010年から2020年まで実施された「防災に強い都市づくり(Making Cities Resilient)」キャンペーンの後継事業であり、仙台フレームワーク(2015-2030)、パリ協定、国連持続可能な開発目標(SDGs)と直接連携している。

主な内容

推進の背景

世界人口の半分以上が都市に居住しており、2050年には約68%に達すると見込まれている。都市は人口・資産・インフラが密集しているため、洪水、熱波、地震、パンデミックのような複合災害に特に脆弱である。それにもかかわらず、多くの地方政府が災害リスクデータ、予算、計画策定能力を十分に備えていないという問題意識からMCR2030は発足した。UNDRR、UN-Habitat、世界銀行、ICLEI、UCLG、C40など多国間機関と都市ネットワークが共同パートナーとして参加している。

3段階のレジリエンス・ロードマップ

MCR2030の中核は、都市が自らの位置を診断し、順に段階を踏んでいく「レジリエンス・ロードマップ(Resilience Roadmap)」である。

  • Stage A(認識・診断):都市が災害レジリエンスの必要性を認識し、自己診断ツールを活用して脆弱性を把握する段階である。
  • Stage B(計画・実行):診断結果に基づいてレジリエンス戦略と実行計画を策定し、予算とステークホルダーを結びつけて実際の事業に着手する。
  • Stage C(拡大・投資):実行の成果を拡大し、投資を誘致するとともに、他の都市に優良事例を伝播する段階である。

主要ツールと支援体制

最も広く使われているツールは災害レジリエンス・スコアカード(Disaster Resilience Scorecard for Cities)である。これは仙台フレームワークの10の必須要素を基準に、都市自らがレジリエンス水準を点数化する自己診断ツールであり、地方政府が政策の優先順位を定めるのに活用される。

10の必須要素(Essentials)は次のとおりである。① 災害リスク軽減のための組織編成と調整 ② 予算配分とインセンティブ ③ リスク情報の維持・更新 ④ インフラのレジリエンス ⑤ 脆弱層の保護 ⑥ 財務能力 ⑦ 都市レジリエンス計画 ⑧ 自然生態系の保全 ⑨ 早期警報と緊急管理 ⑩ 強靭な復旧・再建である。

あわせてレジリエンス・ハブ(Resilience Hubs)が地域別に運営される。ハブ機関は都市にコーチング、教育、技術支援を提供し、都市間学習(City-to-City Learning)と国際ネットワークの連結を仲介する。韓国をはじめとする複数の国の地方政府がハブの役割を担ったり、参加都市として登録されている。

参加主体とメリット

参加対象は地方政府が中心だが、国政府、国際機関、学界、民間企業、市民社会もパートナーとして参加する。参加都市は国際的な認知度の向上、診断ツールの無償利用、国際金融機関との連結、都市間の経験共有、国際会議での発表機会などのメリットを得る。

最新動向

2024~2025年の流れは大きく三つに整理される。第一に、早期警報の拡大である。国連の「すべての人のための早期警報(Early Warnings for All)」イニシアチブ(2023~2027)とMCR2030が結びつくことで、気象観測とリスク情報を都市計画に直接結びつける事例が増えている。第二に、気候適応財源との連携である。損失と損害基金、緑の気候基金など国際財源を都市レジリエンス事業と結びつけようとする試みが活発になった。

第三に、デジタル・AI基盤のリスク診断である。衛星画像、デジタルツイン、機械学習を活用し、浸水脆弱地域や熱波曝露人口をリアルタイムで推計する都市が増えている。また、仙台フレームワークの中間レビュー以降、2030年目標達成の点検が本格化するにつれ、MCR2030参加都市数とスコアカード活用実績が国際的に報告される指標として定着した。

韓国では行政安全部と国立災害安全研究院、複数の広域・基礎自治体がレジリエンス診断と国際協力に参加しており、気候危機適応対策と都市計画を統合する方向で制度改善が進んでいる。2030年が近づくにつれ、MCR2030は国際防災ガバナンスにおいて都市を核心的アクターとして位置づけるプラットフォームと評価されている。

関連トピック

  • [[仙台フレームワーク]]
  • [[気候変動適応]]
  • [[都市レジリエンス]]
  • [[UNDRR]]
  • [[災害管理]]
  • [[持続可能な開発目標]]