可決
概要
可決(かけつ)は、国会・地方議会・株主総会・委員会などの合議体機関が、提出された議案や案件に対して賛成の意思を表示し、その案件を成立・確定させる議決をいう。表決の結果、賛成が法令の定める定足数を満たせば可決となり、満たさなければ否決される。可決は単なる賛成の表示ではなく、当該案件に法的効力を付与する確定的行為であるという点で、意見の表明とは区別される。
主要内容
概念と法的性質
可決は議事機関の内部的意思形成行為であると同時に、対外的には法規範や組織の意思を確定する効力を持つ。国会の法律案の可決は立法作用の中核段階であり、弾劾訴追案の可決は憲法裁判所の審判を開始させる訴追行為であり、予算案の可決は国家財政活動の法的根拠となる。したがって、可決かどうかは案件の種類によって効果が大きく異なる。
定足数の要件
大韓民国憲法第49条は「国会は、憲法または法律に特別の規定がない限り、在籍議員の過半数の出席と出席議員の過半数の賛成によって議決する」と規定する。これを通常一般可決要件といい、在籍議員の過半数出席という議事定足数と、出席議員の過半数賛成という議決定足数の双方を満たさなければならない。一方、重要な案件には加重された特別要件が適用される。
- 憲法改正案: 在籍議員の3分の2以上の賛成(憲法第130条)
- 大統領の弾劾訴追: 在籍議員の過半数による発議、在籍議員の3分の2以上の賛成(憲法第65条)
- 大統領の拒否権行使に対する再議: 在籍議員の過半数出席と出席議員の3分の2以上の賛成(憲法第53条)
- 国務総理・憲法裁判所裁判官などの弾劾訴追: 大統領弾劾と同一の要件を適用
- 国会議員の除名: 在籍議員の3分の2以上の賛成(国会法)
このように、可決要件は案件の政治的・法的重大性に比例して厳格になる傾向がある。
表決方法
可決かどうかは表決によって確認される。国会法上の表決方法には、起立表決、挙手表決、記名投票、無記名投票、電子投票などがある。大統領の弾劾訴追案や国会議員の懲戒案など人に関する案件は無記名投票で処理するのが原則であり、憲法改正案は記名投票による。近年は電子投票システムの導入により、表決結果がリアルタイムで集計・公開されている。
可決の種類
- 一般可決(単純可決): 通常の定足数要件を満たした可決
- 特別可決(重要可決): 改憲案・弾劾訴追案など、加重定足数を満たした可決
- 修正可決: 原案の一部を修正したうえで可決する方式で、修正案が本会議で可決される場合
- 異議のない可決(無表決可決): 異議がなく、表決手続きを経ずに総意で確定する場合
- 再議要求案の可決(再可決): 大統領が拒否権を行使した法律案を国会が再び可決する場合
可決の効果と以降の手続き
法律案が国会で可決されると政府に移送され、大統領は移送日から15日以内に公布しなければならない。公布された法律は、特別の規定がない限り公布日から20日が経過すると効力が生じる。大統領が拒否権(再議要求権)を行使すると、法律案は国会に回付されて再議手続きを経て、再議の結果、在籍議員の過半数出席と出席議員の3分の2以上の賛成があれば確定する。弾劾訴追案が可決されると訴追委員団が構成されて憲法裁判所に審判を請求し、被訴追者の権限行使は直ちに停止される。
否決との違い
否決は可決要件を満たさなかった状態であり、当該案件は廃棄される。否決された案件は、原則として同じ会期中に再び発議することができず、これは議事日程の安定と濫用防止のための仕組みである。ただし、閉会後の次の会期には再発議が可能である。
主な事例
- 2016年12月9日: 朴槿恵大統領の弾劾訴追案が可決(234名賛成)
- 2024年12月14日: 尹錫悦大統領の弾劾訴追案が可決(204名賛成)
- 2024年12月27日: 韓悳洙大統領権限代行の弾劾訴追案が可決(192名賛成)
- 2025年4月4日: 憲法裁判所が尹錫悦大統領の罷免を宣告したことで、弾劾訴追可決の効果が最終確定
最新の動向
2024年末から2025年にかけて、大韓民国において「可決」は政治・法律言説の最前線に置かれた。2024年12月3日の非常戒厳宣言を契機に、12月14日に大統領の弾劾訴追案が可決され、続いて権限代行の弾劾訴追案まで可決されたことで、憲政史上例のない権限空白と再議・審判手続きが連鎖的に進行した。2025年4月の憲法裁判所による罷免宣告で弾劾手続きは終結し、その後、国会は大統領選挙と新政府の発足を経て、内乱特検法、商法改正案、各種の民生法案などをめぐって可決と拒否権行使、再議要求、再可決の試みが繰り返される様相を示した。
制度的な側面では、フィリバスター(無制限討論)と迅速処理案件指定(ファストトラック)制度が、可決の可能性を左右する核心的な変数として浮上し、本会議の表決で定足数を満たすかどうかをめぐる政治的対立も頻繁になった。また、電子投票結果のリアルタイム公開、表決名簿の公開要求、無記名投票の範囲に関する解釈論争など、「可決過程の透明性」が新たな争点として浮上した。2025年には、地方議会や株主総会など国会以外の領域でも、議決定足数・可決要件をめぐる紛争が増え、可決は国会だけの概念ではなく、民主的意思決定一般の中核概念としてその外延を広げている。
関連トピック
- [[国会]]
- [[否決]]
- [[表決]]
- [[定足数]]
- [[弾劾訴追]]
- [[拒否権]]
- [[フィリバスター]]
- [[法律案]]