眼科手術

視力矯正と眼疾患の治療を目的として眼球に施す外科的処置で、レーシック・ラセック・白内障・緑内障・網膜手術などがある。

眼科手術

概要

眼科手術は、視力矯正、眼疾患の治療、眼球構造の修復と機能改善を目的として、眼球およびその付属器官に施す外科的処置の総称である。大きく、近視・遠視・乱視を矯正する屈折矯正手術と、白内障・緑内障・網膜疾患などの病気を治療する手術に分けられる。近年では、フェムト秒レーザー、超音波乳化吸引術、低侵襲手技、人工知能ベースの診断が組み合わさり、精度と回復速度が大きく向上した。

主な内容

屈折矯正手術

眼鏡やコンタクトレンズなしで視力を確保するために角膜の形状を変える手術である。

  • レーシック(LASIK): 角膜表面にフラップ(切片)を作ってめくった後、エキシマレーザーで角膜実質を削り、再び覆う方式である。痛みが少なく視力回復が速く、角膜の厚さが十分な場合に適している。
  • ラセック(LASEK): 角膜上皮を除去した後にレーザーを照射し、上皮の再生を待つ方式である。角膜が薄い、またはレーシックが難しい場合に用いられるが、回復が遅く、痛みや異物感が比較的大きい。
  • スマイル(SMILE): フェムト秒レーザーで角膜内部の組織を円盤状に分離した後、小さな切開創から取り出す低侵襲手術である。切開範囲が小さく、ドライアイや角膜神経損傷のリスクが低い方とされている。
  • 眼内レンズ挿入術(ICL): 角膜を削らず、虹彩の後ろにレンズを挿入する方法で、角膜が薄い強度近視患者で主に考慮される。

白内障手術

水晶体が混濁して視野がぼやける白内障を治療する手術で、世界で最も多く行われる眼科手術の一つに属する。超音波乳化吸引術で混濁した水晶体を除去し、眼内レンズを挿入する。単焦点・多焦点・乱視矯正(Toric)・連続焦点レンズなど、生活パターンに合わせた選択肢が多様である。通常は局所麻酔後、20~30分程度で行われ、当日帰宅が可能である。

緑内障手術

視神経が徐々に損傷される緑内障において、眼圧を下げて進行を遅らせるための手術である。線維柱帯切開術、房水流出装置挿入術、低侵襲緑内障手術(MIGS)などがあり、薬物治療でコントロールできない場合に行う。近年では切開範囲を減らしたMIGSが急速に広がっている。

網膜・硝子体手術

硝子体切除術、網膜剥離手術、黄斑円孔および黄斑変性関連の治療が含まれる。微細切開器具と眼内薬物注入術(抗VEGF注射)を併用して行う場合が多く、糖尿病網膜症の合併症管理にも用いられる。

斜視およびその他の手術

斜視手術は外眼筋の位置や緊張度を調整して目の整列を合わせる処置である。このほか、角膜移植、眼瞼(まぶた)手術、涙道手術、眼窩腫瘍切除などが眼科手術の範囲に含まれる。

術前評価と副作用

手術前には角膜の厚さ、角膜地形図、眼圧、網膜の状態、涙液分泌量などを精密検査し、適応かどうかを判断する。代表的な副作用としては、一時的なドライアイ、夜間の光のにじみ(ハレーション・グレア)、まぶしさ、過矯正または低矯正、まれに感染や角膜拡張症などがある。定期検診や人工涙液の使用など、術後管理が重要である。

最新動向

2024~2025年時点で、眼科手術分野は精密化・低侵襲化・個別化が顕著な流れである。第一に、フェムト秒レーザーとロボット支援システムが白内障および角膜手術に導入され、切開の正確度と再現性が向上した。第二に、人工知能ベースの角膜地形分析と網膜画像読影が、手術適応性の評価や疾患の早期発見に活用され、眼科診断の補助ツールとして定着しつつある。第三に、老視と白内障を同時に矯正する連続焦点・焦点深度拡張(EDOF)眼内レンズの選択が増えた。第四に、無縫合・超小型切開を特徴とするMIGSが、緑内障治療の標準的選択肢として拡大している。第五に、黄斑変性・糖尿病網膜症の治療で、持続型抗VEGF製剤や長時間作用型注射療法が開発され、投与間隔が延びる傾向にある。第六に、術後のデジタル機器使用増加に伴うドライアイ管理と眼の健康診断の重要性が増しており、日帰り手術・当日退院方式が一般化した。ただし、すべての手術は個人ごとの眼の条件によって結果が異なるため、十分なカウンセリングと検査を経て方法を選択することが勧められる。

関連トピック

  • [[レーシック]]
  • [[ラセック]]
  • [[白内障]]
  • [[緑内障]]
  • [[網膜]]
  • [[眼科]]