戦作権

戦時作戦統制権の略で、有事の際に韓国軍に対する作戦統制権限を意味し、韓米間の核心的な安全保障争点である。

戦作権

概要

戦作権(전작권)は「戦時作戦統制権(전시작전통제권)」の略称で、戦時または有事の際に韓国軍部隊の作戦計画の樹立、部隊の移動、作戦の遂行など軍事作戦全般を指揮・統制できる権限をいう。現在、戦時作戦統制権は韓米連合軍司令官(米陸軍4星将軍)が行使しており、平時作戦統制権は1994年に韓国軍が返還を受け、合同参謀議長が行使する。戦作権転換問題は軍事主権と韓米同盟の信頼性、対北抑止力が絡み合った代表的な安全保障・政治的争点である。

主要な内容

概念と範囲

作戦統制権(OPCON, Operational Control)は、部隊の編成・移動・任務付与など作戦的次元の指揮権限を意味し、人事・軍需・教育訓練など軍政権(軍隊管理権限)と区別される。戦作権は戦時にのみ発動される権限であるが、実際には危機状況における転換手続きと指揮体系の設計が核心的な争点となる。平時は韓国軍が自国軍を統制し、戦時には連合軍司令官が米軍と韓国軍をともに統制する二元構造が現在の基本的枠組みである。

歴史的経緯

  • 1950年: 6・25戦争勃発直後、李承晩(이승만)大統領が国連軍司令部に韓国軍の作戦統制権を移譲する書簡をマッカーサー司令官に送った。
  • 1978年: 韓米連合軍司令部が創設され、連合軍司令官が韓国軍に対する作戦統制権を行使するようになった。
  • 1994年12月1日: 金泳三(김영삼)政権時代に平時作戦統制権を韓国軍が返還を受け、戦時作戦統制権のみが連合軍司令官に残ることになった。

戦作権転換論議の展開

  • 2005~2007年: 盧武鉉(노무현)政権が戦作権転換を公式に提案し、2007年2月の韓米国防長官会談で2012年4月17日の転換に合意した。
  • 2010年: 天安艦被撃と延坪島砲撃挑発以降、安保環境の変化を理由に転換時期が2015年12月に延期された。
  • 2014年: 朴槿恵(박근혜)政権が「条件基盤転換」に方針を変え、事実上期限を設けなくなった。
  • 2018~2019年: 文在寅(문재인)政権で転換検証と連合訓練を通じた能力評価が本格化したが、北朝鮮非核化交渉の膠着と新型コロナウイルスにより訓練規模が縮小された。
  • 2022年以降: 尹錫悦(윤석열)政権は条件基盤の接近を維持しつつ、韓米連合訓練と拡張抑止の強化に重きを置いた。

転換の3大条件

韓米両国が公式に提示する転換条件は、①北朝鮮の核・大量破壊兵器への対応能力、②韓国軍の戦区級作戦遂行能力(核心的軍事能力の確保)、③朝鮮半島および域内の安保環境である。この3条件が充足されて初めて転換が可能になるというのが共通の立場であり、このため転換時点は特定の年度に固定されない。

指揮構造改編問題

転換後は韓国軍大将が連合軍司令官を務め、米軍4星将軍が副司令官を務める構造が有力である。ただし連合軍自体を維持するか、「未来連合軍司令部」のような新組織に改編するか、米軍増援戦力の性格をどのように規定するかをめぐる議論が続いている。

賛否論争

  • 賛成側: 戦作権の返還は軍事主権回復の象徴であり、韓国軍の独自の作戦能力を育てる契機になるとみる。長期的に自主国防の土台になるという論理である。
  • 反対側: 北朝鮮の核・ミサイル脅威が高度化した状況で指揮体系の変更は抑止力に空白を生みかねず、米国の拡張抑止提供の意志を弱めかねないと懸念する。

最新の動向

2024年の韓米安全保障協議会(SCM)と国防長官会談では、戦作権転換が「条件基盤」で推進されるという基調が再確認され、転換検証のための連合訓練とシナリオ基盤評価が続いた。同年、韓米核協議グループ(NCG)の発足と拡張抑止強化措置が進むにつれ、戦作権転換論議は核・ミサイル対応体系と連動して扱われる様相が鮮明になった。2025年には国内の政治状況の変化と相まって戦作権転換問題が再び公論化され、国防部は安保環境と韓国軍の能力評価を前提とした段階的接近を維持する立場を示した。一方、在韓米軍の役割再調整、米戦略資産の展開拡大、韓米日安保協力の強化など域内安保構図の変化が戦作権論議の変数として作用している。

関連テーマ

  • [[韓米同盟]]
  • [[韓米連合軍司令部]]
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  • [[自主国防]]
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  • [[北朝鮮核問題]]